ブログTOPへ    
【ログイン】

2006年07月18日

ちょいカワおやじ

alf.JPG

「EU E A BRISA」 JOHNNY ALF(MOVIEPLAY)/1965・1997

ゴツゴツした石ころみたいな両手で律儀にピアノの鍵盤を押さえながら、酒ヤケしたようにカスれたオヤジ声で歌うジョニー・アルフ。ブラジルにはたくさんの偉大な作曲家がいるが、彼もその一人だ。複雑なコード進行に、半音ずつ動く不思議なメロディを乗せると、突然目の前に美しい音楽が鮮やかに出現する。私も、そんなブラジル音楽の持つマジックに魅入られたファンのひとりです。
50年代初期から曲を書き、リオの酒場で歌っていたアルフ。客の中にはジョビンやジョアン・ジルベルトといった顔もあったそうだ。つまり彼らよりも先輩にあたるわけで、ボサノバの生みの親の親ともいえる。そのとき演奏していた曲はすでにモダンで洗練されていた。ジョビンは多いに参考にしたはず。

本作は65年に出たリーダー作としては3枚目のアルバム。冒頭のタイトル曲からして、おかしなコード進行を持つサンバ・カンソン風のバラード。イントロのフルートのメロディとピアノのコードが不協和音スレスレで、すぐさま美しいメロディを歌い始めるアルフ。ぼんやり聴き流すこともできるが、よく聴くと、どっか変。そんな前奏曲があっという間に終って、2曲目もバラード。チープなストリングスがたまらなく愛おしい。でも、やっぱ、どっか変。そう。良い曲だけどどっか変ってのは、なかなか出来ることじゃない。

3曲目。待ってましたのアップテンポのジャズサンバ。トランペット、トロンボーン、フルート、バリトン・サックスのアンサンブルがとってもスリリング。負けじと、せわしなくも、オヤジ声が手探りでメロディを追いかける風情がカワいらしいです。

どの曲も3分以内で終るので、アルバム全体のテンポもチャッチャと小気味よい。スローとアップの配分(バランス)も素晴らしい。モノラル録音による彫りの深い音、そして音圧も聴いていて思わずニンマリ。

まず最初に、とにかく曲にほれる。後になって、そのオヤジ声がヤミつきになる。最初は耳に馴染まなかったカスレ声が、とても優しく響 くようになるのです。装飾をすべて排除した、曲と歌の良さだけでまとめられた小粒名盤。とにかく染みます。

Posted by やきとり at 23:38│Comments(0)TrackBack(0)音楽

この記事へのトラックバックURL

http://ch10670.kitaguni.tv/t277813
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません